前回は「4つの条件」を紹介しました。今回は、それを実際の現場でどう使うか、「○と×の事例」で見てみましょう。 ここを間違うと、法務局から「取り下げ(出し直し)お願いします」という恐怖の電話がかかってきます。
目次
1. 【事例1】パーフェクトな一括申請(〇)
状況: Aさんが持っている「甲土地」と「乙土地」を、同日(5月1日)に売買契約し、市が買収した。
4つのポイントをチェックしてみましょう。
- ①管轄:両方とも同じ市内(〇)
- ②目的:両方とも「所有権移転」(〇)
- ③原因:両方とも「5月1日 売買」(〇)
- ④当事者:両方とも「Aさん → 市」(〇)
判定:一括申請OK! 嘱託書の「不動産の表示」欄に、甲土地と乙土地を並べて記載すれば、1枚で提出できます。これが最も基本的な形です。
登記嘱託書
登記の目的 所有権移転
原因 ◯年5月1日売買
権利者 くまのみ市
義務者 ◯市◯番地 A
不動産の表示
甲土地
乙土地
2. 【事例2】初心者が陥る「日付違い」の罠(×)
状況: Aさんが持っている「甲土地」と「乙土地」を買収した。 ただし、予算の都合で「甲土地は3月31日契約」「乙土地は4月1日契約」にした。
- ①管轄:同じ(〇)
- ②目的:所有権移転(〇)
- ④当事者:Aさん → 市(〇)
- ③原因:日付が違う!!(×)
判定:一括申請NG! 「たった1日違いだし、相手も同じAさんだし、面倒だからまとめて出しちゃえ!」 これは絶対にダメです。 必ず「甲土地用の嘱託書」と「乙土地用の嘱託書」、2通作成してください。
3. 解説:なぜ日付が違うとダメなのか
登記簿(登記記録)は、権利の歴史を正確に刻むものです。 「いつ」権利が動いたかは非常に重要な情報であり、そこが違うものを混ぜて申請することは、正確性を損なうため認められていません。 根拠は前回の「不動産登記令第4条但書」にある「登記原因及びその日付が同一であるとき」という部分です。
【第2回のまとめ】
- 同じ人から買う場合でも、「契約日(原因日付)」が1日でも違えば、別々の嘱託書にする。
- 「面倒だから」は通用しない。
次回は、所有者がバラバラなのにまとめてもいい? という「抵当権抹消の特例」について解説します。
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