実務で非常によくあるのが「共有地」の買収です。 「AさんとBさんが半分ずつ持っている土地」を買う場合、申請書はどうなるのでしょうか?
目次
1. 【事例】A・B共有の土地を市が買った
状況: 甲土地(共有者:持分1/2 A、持分1/2 B)。 5月1日、市はA・Bそれぞれと売買契約を結び、土地全部を取得した。
2. 考え方:持分ごとか? 全員まとめてか?
厳密に考えると、
- Aさんから「A持分」をもらう取引
- Bさんから「B持分」をもらう取引 これらは別の取引ですから、本来なら「A持分全部移転」と「B持分全部移転」という2枚の申請書が必要です。 しかし、それではあまりに不便です。
ちなみに、あまり意識しなくても業務をこなしていると思いますが、共有者全員持分全部移転登記はここが論点になります。
3. 結論:実務では「共有者全員持分全部移転」を使う
実務では、「共有者全員持分全部移転」という登記の目的を使うことで、これを1枚にまとめることが認められています。
条件チェック
- ①管轄:同じ(〇)
- ②目的:共有者全員持分全部移転(〇)
- ③原因:5月1日 売買(〇)
- ④当事者:義務者を「A・B」とセットで考える
このテクニックを使うことで、あたかも「A・B連合軍」という一人の義務者から買ったかのように構成し、一括申請を可能にしています。
根拠:不動産登記規則35条9号
不動産登記規則 第35条第9号(要約) 同一の不動産について申請する二以上の権利に関する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、一括申請できる。
【注意点】 もし、「A持分は売買(有償)」だけど「B持分は寄付(無償)」だった場合。 これは「登記原因」が違うため、絶対にまとめられません。 × 登記原因:売買および寄付(こんな書き方はできません) 〇 別々の嘱託書を作成する。
【第4回のまとめ】
- 共有地を買う時は「共有者全員持分全部移転」で1枚にまとめられる。
- ただし、全員の「登記原因(売買など)」が同じであることが条件。
次回はいよいよ最終回。一番簡単な「名変登記」についてです。
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