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「署名証明書」は返ってこない? 登記研究692号の原則と、現場で還付に成功した実例

実務において、外国人の当事者が絡む案件は緊張しますよね。
特に「署名証明書(サイン証明)」は、取得するのに手間も費用もかかるため、できることなら原本還付して使い回したいのが本音です。

しかし、先例(登記研究)を見ると「還付不可」と書いてある。
本当にダメなのか? 実は「使い道」によっては返してもらえるという、実務の裏技(というか正当な理屈)について解説します。

目次

疑問:苦労して取った「サイン証明」、返してくれないの?

外国人は印鑑証明書がないため、代わりに「署名証明書(サイン証明)」を添付します。
これを原本還付請求すると、窓口でこう言われることがあります。

「印鑑証明書の代わりなので、還付できません(預かりっ放しになります)」

原則:先例は「還付不可」と言っている

登記官が「返せない」と言う根拠は、この有名な質疑応答です。

登記研究692号 211頁(要旨)
問: 登記義務者である外国人の署名証明書は、原本還付を受けることができますか?
答: 受けることはできないと考えます。

なぜ返してくれないの?(「のみ書面」の法理)

登記実務には、「その登記申請のためだけに作成された書面(のみ書面)」は還付しないというルールがあります。

  • 委任状 → 今回の登記のためだけに書いたものだから、返さない。
  • 印鑑証明書 → 今回の承諾書の真正性を担保するために出したものだから、返さない。

署名証明書も「印鑑証明書の代わり」として提出される以上、「今回の登記のためだけに使った(=他で使う予定がない)」とみなされ、原則として還付不可となるのです。

例外:この場合は、返してもらえるかも?!

しかし、単なるサイン証明書ではなく、サイン証明の他に委任事項などが書かれている宣誓供述書であり、「他の登記(嘱託)でも使うんです!」という事情があれば、話は別です。

魔法のロジック

「この宣誓供述書(サイン証明を含む)は、今回の登記だけでなく、別件の登記でも使用します。 したがって、今回の登記のためだけに作成された『のみ書面』には該当しません。」

こう説明し、実際に他の用途があることを示せば、原本還付が可能になります。

まとめ:諦めずに交渉しよう

  • 原則: 「今回限り」とみなされ、還付できない(登記研究692号)。
  • 例外: 「他にも使い道がある」なら、還付できる可能性がある。

何も言わなければ「原則」通り処理されて回収されてしまいます。
他の手続きで使う予定がある場合は、原本還付請求をしましょう。
貴重なサイン証明、無駄にしないようにしてくださいね!

登記研究692 P211

【7814】登記義務者である外国人の署名証明書の原本還付の可否について

[要旨] 登記義務者である外国人の署名証明書は、原本還付を受けることはできない。
問 所有権の登記名義人である外国人が登記義務者として登記の申請をする場合において、不動産登記令16条に規定する印鑑証明書の提供に代え、外国人の署名証明書を提供することが認められていますが、この署名証明書については原本還付を受けることができないと考えますが、いかがでしょうか。
答 ご意見のとおりと考えます。

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