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【元日本人の相続・登記】国籍を失ったら権利も失う? 印鑑証明書やサイン証明のルールを解説

外国人との結婚や海外への帰化で「日本国籍を喪失した元日本人」が絡む相続・登記手続きは、一気に難易度が上がります。

「お父さんが亡くなったけど、アメリカ人の私は相続できるの?」

「印鑑証明書がないけど、どうすればいい?」

実務で必ずぶつかるこれらの疑問について、先例(登記研究)や専門書をベースに、Q&A形式でわかりやすく解説します。

目次

Q1. 日本国籍を失うと、日本人の親の相続権も消える?

A. いいえ、相続権は失いません。

「国籍」と「相続権」は別の話です。

日本の法律(法の適用に関する通則法)では、「相続は、亡くなった人(被相続人)の本国法による」と決まっています。

つまり、亡くなったお父さんが日本人であれば、相続人(あなた)がアメリカ国籍だろうが宇宙国籍だろうが、日本の民法が適用され、日本人と同じように相続権があります。

根拠: 登記研究66号41頁ほか

被相続人が日本人であれば、相続人の国籍いかんにかかわらず日本の法律が適用される。

Q2. 元日本人の「サイン証明」。日本の領事館で取れますか?

A. いいえ、取れません。現地の公証役場へ行ってください。

印鑑証明書の代わりとなる「署名証明書(サイン証明)」ですが、日本国籍を失った場合、もはや日本の行政サービス(領事館での証明)の対象外となるケースがほとんどです。

アメリカ国籍を取得したなら、アメリカの公証人(Notary Public)に認証してもらう必要があります。「元日本人だから」という理由で日本の領事館にお願いしても、断られる可能性が高いので注意しましょう。

根拠: 登記研究274号71頁

日本国籍を喪失した者が登記義務者となる場合、日本の在外公館の証明書を提出することはできない(外国官憲の証明書が必要)。

Q3. 日本語の書類に、英語(サイン)で署名してもいい?

A. はい、日常使っているサイン(英語等)でOKです。

日本の法務局に出す書類(遺産分割協議書や特別受益証明書など)は、当然日本語で書かれています。

しかし、署名欄まで「日本語(漢字)」で書く必要はありません。

現地の公証人は日本語が読めないため、「漢字の署名」を見せられても「これが本当にあなたの名前か分からない(本人確認できない)」と認証を拒否されることがあります。

そのため、公証人が読める文字(英語などの日常使用するサイン)で署名し、認証を受けるのがスムーズです。

根拠: 昭和46年11月2日 民事三発第303号 回答

本人の署名は、日常使用している外国文字の署名で差し支えない。

Q4. 「帰化後に子がいない」ことの証明は?

A. 原則は公的な証明書ですが、宣誓供述書で代用できる場合もあります。

元日本人が亡くなり、その相続手続きをする際、「帰化(国籍変更)した後に、新しい子供や養子がいないこと」を証明しなければなりません。

  • 原則: その国(または在日公館)が発行した公的な相続証明書。
  • 例外: 高齢で帰化したなど、子供が生まれる可能性が低い場合は、「帰化後に子供はいません」という本人の宣誓供述書(宣誓書)で代用できることがあります。

ただし、若い時に帰化した場合などは、公的な証明書の提出を求められる可能性が高いです。

根拠: 登記研究255号46頁、改訂渉外不動産登記303頁

まとめ:手続きのポイント

元日本人が絡む手続きは、「日本人と同じ部分」と「外国人のルールに従う部分」が混在します。

項目ルール
相続権日本人と同じ(ある)
印鑑証明日本ではなく「現地の公証人」の認証が必要
署名「現地の文字(サイン)」でOK
相続人の調査帰化後の証明が難しい場合は、宣誓供述書を活用

国籍が変わっても、家族の縁(相続権)は切れません。

しかし、手続きの作法は「外国人扱い」になりますので、現地の公証制度をうまく活用して進めていきましょう。

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