「外国人の登記にはサイン証明!」
これが鉄則ですが、お隣の韓国(大韓民国)に関しては話が別です。
日本と同様に「印鑑登録制度」が存在する韓国。
この韓国の印鑑証明書は、日本の登記所で通用するのでしょうか? また、ネットで渉外登記を調べる際の「検索のコツ」とは?
今回は、韓国特有の事情と、間違いやすい渉外登記のリサーチ方法について解説します。
結論:使えます(翻訳は必須)
結論から言うと、韓国で発行された印鑑証明書は、日本の登記申請(嘱託)に使用可能です。
欧米などの「サイン文化圏」とは異なり、韓国には日本と同様の印鑑登録制度があります(2024年7月現在)。
日本の法務局もこの制度の信頼性を認めているため、「韓国の印鑑証明書+訳文」を添付することで、印鑑証明書としての適格性が認められます。
実例:日本国籍でも韓国の証明書が使えた
私が実際に経験した事例です。
- 状況: 相続人の一人(日本国籍)が韓国に在住。
- 書類: 特別受益証明書(実印押印が必要)。
- 対応: ご本人が韓国の役所で取得した「韓国の印鑑証明書」を添付。
- 結果: 問題なく嘱託登記が完了。
通常、海外在住の日本人は「日本領事館」でサイン証明等を取得しますが、韓国に居住して印鑑登録をしている場合、現地の印鑑証明書でも通用するという貴重な実例です。
選択肢:あえて「サイン証明」でもOK
「韓国に住んでいるなら、絶対に印鑑証明書じゃなきゃダメ?」
というと、そうではありません。
印鑑制度がある国であっても、欧米と同様に「署名証明書(サイン証明)」を使うことも可能です。
登記研究605号 165頁(要旨)
問: 印鑑登録制度のある国の外国人であっても、印鑑証明書ではなく、署名証明書を添付して登記申請ができるか?
答: できる。
つまり、韓国在住の方との手続きでは、以下のどちらでも選べるという柔軟性があります。
- 印鑑ルート: 実印を押印 + 韓国の印鑑証明書
- サインルート: 署名(サイン) + 署名証明書(公証人等)
相手方が印鑑を持っているか、公証役場に行きやすいかなど、状況に合わせて選びましょう。
重要:渉外登記のリサーチにおける「3つの軸」
最後に、ネットや書籍で外国人の登記について調べる際の「落とし穴」について触れておきます。
「外国人 登記 必要書類」
こんなキーワードで検索して、出てきた記事を鵜呑みにしていませんか?
渉外登記の記事を読む際は、その記事が「どのパターンの人」に向けて書かれているかを厳密に見極める必要があります。
必ず確認すべき「2つの軸」
記事を読むときは、以下の要素をチェックしてください。
- 国籍はどこか?(日本人か? 外国人か? )
- 住所はどこか?(日本に住んでいる? 外国に住んでいる?)
組み合わせの例
- 「外国に住んでいる日本人」の記事なのか?
- 「日本に住んでいる外国人」の記事なのか?
- 「外国に住んでいる外国人」の記事なのか?
単に「海外」「外国人」という言葉だけで判断すると、全く異なる手続きを誤って参照してしまう危険があります。
「誰の」「どこでの」話なのか、前提条件を常に意識してリサーチするようにしましょう。
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