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【相続実務】「全員集まるのは正月だけ?」 遺産分割協議書は“持ち回り”しなくても大丈夫な理由

相続手続きの現場で、こんな「あるある」な相談を受けませんか?

相続人A: 「遺産分割協議書を作りたいんだけど、妹は東京、弟は大阪にいて……。全員が実家に集まるのは、早くても次の正月かなぁ。」

相続人A: 「郵送で回すにしても、時間がかかるし、途中で無くしたら怖いよね。」

「全員が実印を押す=全員集合しなければならない」という思い込みが、手続きを遅らせる最大の原因です。

今回は、相続人がバラバラに住んでいても、郵送だけで(しかも短期間で) 遺産分割協議を成立させるテクニックについて解説します。

目次

1. 誤解:「一枚の紙」に全員が押印する必要はない

多くの方が、遺産分割協議書とは「一枚の紙に、相続人全員が名前を書き、実印を押したもの」だと思っています。

しかし、法律上はそのようなルールはありません。

正解:バラバラの紙でもOK(証明書形式)

「全く同じ内容の遺産分割協議書」を相続人の人数分作成し、それぞれが「自分の分」にだけ署名・押印します。

最後にそれらを全通合体させれば、法的に有効な遺産分割協議書として認められます。

  • 従来のイメージ(連署):1通の紙を、Aさん→Bさん→Cさん…とバケツリレーで回して署名していく。(時間がかかる、紛失リスクが高い)
  • おすすめの方法(各別作成):Aさんが署名した紙、Bさんが署名した紙、Cさんが署名した紙を、代表者が一括で回収する。(同時進行できるので早い、リスク分散)

2. 根拠:先例で認められています

この方法は、裏技でもなんでもなく、古い先例で明確に認められている正規の手法です。

登記研究170号 100頁

問 同一内容の遺産分割協議書を、共同相続人が各人別に夫々作成(連署せず)した場合、遺産分割の協議を証する書面といえないか。

答 同一内容の遺産分割協議書を数通作成し、それに各自が各別に署名捺印したものであっても、その全部の提出があるときは、遺産分割の協議書とみてさしつかえないものと考えます。

なぜ認められるの?

遺産分割協議は、法律上「要式行為(形式が決まっている行為)」ではありません。

全員の合意があったという事実さえ証明できれば良いため、紙が分かれていても、内容が合致して全員の印鑑が揃っていれば問題ないのです。

3. 実践:具体的な進め方

遠方の相続人がいる場合は、以下の手順で進めるとスムーズです。

  1. 案文の確定:メールや電話で協議し、分割内容を確定させる。
  2. 書類の送付:代表者が、同じ内容の協議書を人数分作成し、各相続人に郵送する。
  3. 返送・合体:各相続人は、署名(記名)+実印を押し、印鑑証明書を同封して返送する。全員分が戻ってきたら、それらをホッチキス等でまとめて一セットとする。

これで、わざわざ集まることなく、最短期間で手続きを完了させることができます。

まとめ

  • 全員が一箇所に集まる必要はない。
  • 一枚の紙を回覧する必要もない。
  • 「同じ内容の紙」を別々に作って、最後に束ねればOK。

「正月まで待とう」なんて言っていたら、手続きはいつまで経っても終わりません。

「別々の紙でいいんですよ」と提案するだけで、案件のスピード感が劇的に変わりますよ。

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