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【冷や汗案件】協議書の住所と印鑑証明書が不一致! 書き直しを回避する「一枚の書類」

目次

はじめに:現場で凍りつく瞬間

「先輩、やばいです……。やっとハンコをもらった遺産分割協議書なんですが……」 「どうした? 不備でもあった?」 「協議書に書かれた住所と、添付された印鑑証明書の住所が違うんです!」 「あー、作成後に引っ越されたのかな?」 「これ、新しい住所で協議書を作り直してもらわないとダメですか? またお願いするなんて無理です……」

用地課のデスクでよくある光景です。 長い交渉の末、やっとの思いで実印を押してもらった書類。それが「住所不一致」で無駄になるなんて、想像するだけで胃が痛くなりますよね。

でも、慌てて地権者に電話してはいけません。 その協議書、そのまま使えます。

結論:書き直しは「不要」です!

結論から言います。 遺産分割協議書の書き直しや、訂正印をもらう必要はありません。

必要なのは、「住所のつながりが分かる証明書」を追加で添付することだけです。

解説:なぜ「不一致」でもOKなのか?

登記において最も重要なのは「本人確認(同一性の確認)」です。

  1. 遺産分割協議書には「旧住所」で署名・押印した。
  2. その後に引っ越しをして、印鑑証明書は「新住所」で発行された。

このままだと、法務局は「この旧住所のAさんと、新住所のAさんは別人では?」と疑います(形式的審査)。 そこで、「旧住所から新住所へ引っ越したのは間違いなく本人ですよ」ということを証明すれば、同一人物であると認められ、登記は通ります。

根拠となる重要な先例

この取扱いは、明確な根拠(質疑応答)に基づいています。自信を持って処理してください。

根拠:登記研究 第557号 169頁 質疑応答

【要旨】 遺産分割協議書に記載された相続人の住所と印鑑証明書の住所が符合しない場合には、住所の変更を証する書面をも添付しなければならない。

【問】 相続による所有権移転登記の申請書に添付する遺産分割協議書に記載された相続人の住所とその者の印鑑証明書の住所が付合しない場合は、住所の変更を証する書面をも添付すべきと考えますがいかがでしょうか。

【答】 ご意見の通りと考えます。

※ここがポイント!

上記の質疑応答は「申請(一般の登記)」に関するものですが、我々が行う「嘱託登記(官公署の登記)」でも全く同じ扱いになります。 「役所の嘱託だからダメ」とか「特別扱い」ということはありません。

具体的な対処フロー

では、実務でどう動けばよいのか。手順はシンプルです。

  1. 不一致を確認する 協議書の住所(旧)と、印鑑証明書の住所(新)が違うことを確認。
  2. 「住民票」を取得する その地権者の住民票を取得します。
    • ポイント: 住民票には「前住所」の記載欄があります。ここに「協議書に書かれた旧住所」が載っていればOKです。
    • 注意点: 何度も引っ越しをしている場合、住民票だけではつながらないことがあります。その場合は「戸籍の附票(ふひょう)」を取得してください。これなら住所の履歴が全て載っています。
  3. 嘱託書に添付して提出 いつもの書類セットに、その住民票(または附票)を1枚追加するだけで完了です。

まとめ:知識があれば、地権者にも優しくなれる

もしこの知識がないと、「すみません、引っ越されました? じゃあ書類を作り直しますので……」と、地権者に無駄な負担をかけることになります。これでは用地担当としての信頼もガタ落ちです。

  • 書き直しは不要。
  • 「住所の履歴がわかる公的書類(住民票・附票)」をつければ解決。
  • 根拠は「登研557号」。

これさえ知っていれば、「住所が変わっていますが、こちらで住民票をつけて対応しておきますので大丈夫ですよ!」と、頼れる担当者として振る舞うことができます。

トラブルに見えることも、根拠を知っていればただの「事務処理」です。 焦らず、賢く、業務を進めていきましょう!

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