はじめに:登記簿の「枝番」に惑わされるな
「先輩、この地権者さん(旗立大さん)、過去に一度住所移転をしていて、登記簿に『1番付記1号』がついているんです。今回また引っ越されたので住所変更をするんですが……」
登記簿の甲区(所有権欄)がこんな状態になっていること、よくありますよね。
▼ 現状の登記記録(イメージ)
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付・日付 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 所有権移転 | 平成○年○月○日 | 原因 売買 所有者 ○町1番 旗立 大 |
| 付記1号 | 1番登記名義人住所変更 | 平成○年○月○日 | 原因 住所移転 変更後の住所 ○町2番 |
この状態で、旗立さんがさらに「○町3番」へ引っ越しました。
さて、今回作成する嘱託書の「登記の目的」は、以下のどちらが正解でしょうか?
結論:答えは「(a)親番号(主登記)」のみ書く
Q. 登記の目的の書き方はどっち?
- (a)登記の目的 1番所有権登記名義人住所変更
- (b)登記の目的 1番付記1号所有権登記名義人住所変更
A. 正解は(a)です!
どんなに付記登記(住所変更など)が積み重なっていても、常に「主登記(親番号)」である「1番」だけを指名してください。
解説:なぜ「付記」は無視するのか?
1. 常に「本体」をターゲットにする
登記のルールとして、住所変更や氏名変更などの「名変登記」は、常に「権利の本体(所有権そのもの)」に対して行います。
- 1番(主登記): 所有権の本体(旗立さんが所有者であるという事実)
- 付記1号: その住所が変わったという履歴メモ
今回変更したいのは、あくまで「1番の所有権を持っている旗立さんの住所」です。「付記1号という履歴メモ」を変更するわけではありません。
だから、ターゲット(登記の目的)はシンプルに「1番」となります。
2. 根拠(法務局ホームページより)
この取り扱いは、法務局の記載例でも明確に指示されています。
法務局ホームページ「不動産登記申請手続」記載例より抜粋
登記の目的:1番所有権登記名義人住所変更(注1)
原 因:令和1年6月20日住所移転
変更後の事項:住所 ○○市○○町一丁目5番2号
(注1) 甲区(その不動産について所有権に関する登記の登記事項が記録される部分です。)何番の所有権の登記名義人(所有者)の住所を変更するのかを表示します。 付記登記(「付記2号」などの登記)がある場合でも、主番号(「1番」など)のみを記載します。
法務局が「付記があっても主番号のみ書け」と言い切っていますので、これに従えば間違いありません。
まとめ:親亀(主登記)だけを見ればOK!
- 住所変更が何度繰り返されていても、「登記の目的」には主登記の番号(1番、2番など)だけを書く。
- 「付記○号」を含めて記載する必要はない。
- 迷ったら法務局HPの「注釈」を思い出そう。
これで、過去に何度引っ越している地権者さんの案件でも、迷わず嘱託書が作れますね。
基本に忠実に、自信を持って作成してください!
余談:用地実務で申出をすることはないですが
相続人申出書の申出の目的は、付記も書きます。

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