はじめに:住民票の「2つの日付」に惑わされるな
「先輩、名変登記(住所変更)の書類を作っているんですが……」
「ん? どうした?」
「住民票を見ると、日付が2つ書いてあるんです。どっちを『登記原因の日付』にすればいいんでしょうか?」
これは、登記業務を始めたばかりの人が必ず一度はぶつかる壁です。
お手元の住民票を見てみてください。こんな風に書いてありませんか?
▼ 住民票の記載例
- 令和◯年◯月10日 転居 (実際に引っ越した日)
- 令和◯年◯月15日 届出 (役所に紙を出した日)
「役所の手続きなんだから、届出日かな?」と思いがちですが、その直感は間違いです。
ここで間違った日付を書くと、法務局から即座に「補正(訂正)」の電話が来てしまいます。
結論:正解は「転居した日」です
迷わず、以下のルールを覚えてください。
「届出日」は無視して、「転居日(住定日)」を書く!
登記の考え方では、「役所に届け出た日」ではなく、「実際に引っ越して住所が変わった日(事実が発生した日)」を原因日付とします。
▼ 登記嘱託書の記載例
| 項目 | 記載内容 |
| 登記の目的 | 1番所有権登記名義人住所変更 |
| 原 因 | 令和◯年◯月10日 住所移転 |
| (解説) | ↑ここに書くのは、住民票の「転居日」です。 「届出日(15日)」ではありません! |
根拠:法務局の公式見解
「本当にそれでいいの?」と不安な方は、法務局の公式ガイドラインを確認しましょう。
法務局HP「転勤等で引っ越した方へ(住所の変更登記手続きのご案内)8ページ」より
○ 原因
(説明)
住民票の写しに記載されている住所移転の日を記載します(注)。
(注) 「届出の日」ではありません。また、実際には、複数回の住所移転をしているにもかかわらず、その各回の住所変更の登記をしていなかった場合には、最後に住所移転をした日を記載します。
このように、はっきりと「届出日ではない」と明記されています。
応用:何度も引っ越している場合は?
では、登記簿上の住所から、A市→B市→C市(現在)と、登記をせずに複数回引っ越している場合はどうなるでしょうか?
この場合、中間の「A→B」の日付は書きません。
登記簿上の住所から、最終的な「現在の住所(C市)に移転した日(転居日)」を記載します。
- × 間違い: 途中の転居日を全部書く
- ◎ 正解: 最後に住所移転(B市→C市)をした日を書く
まとめ
- 住民票には「転居日」と「届出日」がある。
- 登記に使うのは「転居日(実際に動いた日)」。
- 「届出日」は登記には関係ない情報なので無視する。
たったこれだけのことですが、うっかり「届出日」を書いてしまうミスは後を絶ちません。
住民票を受け取ったら、まずは蛍光ペンで「転居日」の方をマークする癖をつけておきましょう!
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