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昔の役人はインクを節約した? 「土地台帳」の住所省略ルールを完全解説

旧土地台帳(明治~昭和期の課税台帳)を調査していると、所有者の住所欄に「番地(数字)」しか書いていないケースによく遭遇します。

「これじゃ住所が分からない! 同姓同名の別人がいたらどうするんだ?」

と焦る必要はありません。

これは手抜きではなく、当時の「省略のルール」を知っていれば、ちゃんと住所を復元できるのです。

今回は、土地台帳特有の「住所省略の読み方」について解説します。

目次

謎:住所欄に「数字」しか書いていない

旧土地台帳の所有者欄を見てみましょう。

通常なら「〇〇県〇〇郡〇〇村字〇〇 10番地」と書かれるべきところが、ポツンと「22番地」あるいは単に「22」とだけ書かれていることがあります。

これでは、どこの市町村の「22番地」なのか分かりませんよね。

しかし、これには明確なルールが存在します。

解決:その数字は「同じ字(あざ)」の番地です

結論から言うと、「その土地の所在(大字・字)」と同じ住所に住んでいる場合、番地以外の記載を省略できるという決まりがありました。

つまり、その土地がある場所(字名)を、そのまま数字の前にくっつければ、住所が完成します。

具体例で解読する

例えば、以下の土地の台帳を見ているとします。

  • 土地の所在: くまのみ市 字くまのみ 11番

この台帳の所有者欄に、こう書いてあったとします。

22番地 南陽 マンタ

この場合、南陽マンタさんの正しい住所はこうなります。

👉 くまのみ市 字くまのみ 22番地

「土地と同じ字(くまのみ)に住んでいるから、そこまでは書かなくていいよね」という、昔の人の合理化(手抜き?)ルールなのです。

根拠:土地台帳事務取扱要領 第83条

このルールの根拠は、当時の事務取扱要領に明記されています。

土地台帳事務取扱要領 第83条

土地台帳に土地の所有者、質権者又は地上権者の住所を記載する場合において、その住所と当該土地の所在と同一の部分があるときは、その部分の記載を省略してさしつかえない。

但し、地番を省略してはならない。

「地番(番地)だけは絶対に書いてね、でもそれより上の住所(県・郡・村・字)が土地と同じなら、書かなくていいよ」ということです。

まとめ:省略された「上の部分」を補え

土地台帳で「番地のみ」の記載を見つけたら、以下の手順で読み解いてください。

  1. 台帳の表題部(ヘッダー)にある「土地の所在(大字・字)」を確認する。
  2. 所有者欄の「番地」を確認する。
  3. 「1」+「2」を合体させる。

これで、所有者の住所は特定できます。

「情報がない!」と諦める前に、ヘッダーの地名を確認してみてください。答えはそこに書いてありますよ。

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