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新人がハマる「3ヶ月の壁」。嘱託登記なら期限を気にしなくて良い4つの書類

目次

はじめに:なぜ「3ヶ月」と思い込んでしまうのか?

一般の不動産取引(個人間の売買など)では、印鑑証明書は「作成後3ヶ月以内」のものしか使えません(不動産登記令第16条等)。

しかし、官公署が行う嘱託登記は、信頼性が高いため、このルールが緩和されているのです。

もし、3ヶ月を過ぎるたびに地権者に「新しい証明書をください」と連絡していたら、「お役所の仕事は遅いな!」と怒られてしまいます。

正しい知識を持って、既存の書類を有効活用しましょう。

結論:基本的に「期限なし」! ただし例外あり

嘱託登記でよく使う以下の4つの書類について、「作成後3ヶ月以内」である必要はありません。

  1. 印鑑証明書(承諾書に添付するもの)
  2. 戸籍・除籍謄本(相続用)
  3. 住民票
  4. 固定資産評価証明書(※ただし年度に注意)

それぞれの根拠と、実務上の注意点を解説します。

書類別解説と根拠

1. 登記承諾書に添付する印鑑証明書

用地買収(所有権移転)などの際、地権者から頂く「登記承諾書」に実印を押してもらい、印鑑証明書をセットでもらいますよね。

これは、何ヶ月前(極端に言えば何年前)のものでも有効です。

  • 答え: 期限なし(不要)
  • 根拠通達:昭和26年9月20日 民事甲第1896号 民事局長通達昭和31年11月2日 民事甲第2530号 民事局長通達

【補足】

「3ヶ月以内」が必要なのは、一般の売買で「登記申請書(委任状)」に添付する場合などです。嘱託登記で使う「承諾書」の添付書類としては、期間制限の規定が適用されません。自信を持ってそのまま使ってください。

2. 被相続人・相続人の戸籍・除籍謄本(抄本)

相続登記(代位登記など)を行う際に集める分厚い戸籍の束。これも期限はありません。

考えてみれば当たり前で、「亡くなった事実」や「親子関係」は時間が経っても変わらないからです。

  • 答え: 期限なし(不要)
  • 注意点:
    • 当然ですが、被相続人の「死亡日以降」に発行されたものである必要があります(死亡の記載が必要なため)。
    • 相続人の戸籍も期限はありませんが、その後に結婚や離婚で氏名・本籍が変わっている場合は、つながりが分かるものが必要です。

下記リンク先資料の有効期限の欄を確認してください。
   法務局HP内資料 → 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等

3. 住民票

地権者の住所変更登記などで使う住民票。これも3ヶ月ルールはありません。

  • 答え: 期限なし(不要)
  • 根拠:登記研究 第140号 45頁、第156号 50頁、第211号 53頁

【補足】

ただし、発行日以降に「また引っ越した」場合は、当然ながらその住民票は(現在の住所を証するものとして)使えません。現状と一致している限りにおいて、有効期限はないという意味です。

4. 固定資産評価証明書

登録免許税の計算根拠として添付する書類です。

これも「発行から3ヶ月」という縛りはありませんが、最も注意が必要な書類です。

  • 答え: 期限はないが、「年度」に縛られる
  • 鉄則: 「登記を嘱託する日(法務局に出す日)」が属する年度のものが必要。

【ここでヒヤリハット!】

3月中に取得した評価証明書(令和5年度)を持って、のんびり事務処理をし、4月1日(令和6年度)に法務局へ持ち込んだら……アウトです。

4月1日で年度が切り替わり、評価額が変わる可能性があるため、新年度の証明書を取り直しになります。

「3ヶ月以内ならいい」ではなく「年度内かどうか」を必ずチェックしてください。

下記リンク先資料の有効期限の欄を確認してください。
    法務局HP内資料 → 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等

まとめ:クイックチェック表

デスクの前に貼っておけるよう、表にまとめました。

書類名3ヶ月以内である必要は?注意点(実務上のポイント)
① 印鑑証明書
(承諾書添付)
不要半年前のものでもOK。
根拠:昭26民事甲1896号ほか
② 戸除籍謄本不要被相続人の「死亡日以降」の発行であること。
内容に変更がない限り有効。
③ 住民票不要現住所と一致していればOK。
根拠:登研140号ほか
④ 評価証明書不要【超重要】登記申請日が属する「年度」のもの。
4月1日を跨ぐ時は要注意!
詳しくは→4月1日の「登記の罠」を回避せよ! 固定資産評価証明書の有効期限と年度切替のルール

地権者さんに「期限切れなんで取り直してください」と電話をする前に、この表を確認してください。

ほとんどの場合、その書類はまだ生きています。

根拠(通達番号や登記研究)を知っているだけで、自分も楽になり、地権者の負担も減らせます。賢く業務を回していきましょう!

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