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【相続関係説明図】子供がいない「元妻・元夫」。書かなくていい? 実務家があえて「書く」理由

目次

はじめに:先例を「どう読むか」

「先輩、被相続人には離婚歴がありますが、元奥さんとの間に子供はいません。登記研究439号を読むと、この場合は省略しても良さそうなんですが……」

おっ、よく先例を読み込んでいますね!

その通り。先例(登記研究)を素直に読めば、あなたの解釈は「正解」です。

しかし、だからといって「実務上省略すべきか」は別の話です。

ベテランの用地担当者は、このケースでもあえて元配偶者を記載することがほとんどです。

今回は、「現場の知恵」について解説します。

結論:省略は「可能」だが、書いた方が「早い」

まず、実務上の正解から言います。

  1. 先例の解釈:元配偶者との間に子供がいなければ、省略して差し支えない。
  2. 現場の実務:省略できるとしても、あえて記載することを強く推奨する。

なぜ「書かなくてもいい」のに、わざわざ書くのか?

その理由を紐解いていきましょう。

解説1:まずは「登記研究」を深く読み解く

この論点の根拠となる「登記研究439号」を見てみましょう。

カッコ書きの中身に注目してください。

[要旨]
相続関係説明図には、被相続人の死亡以前に死亡した子及び被相続人が離婚した者の氏名(ただし、相続人たる子がいる場合又は死亡している場合等)も記載すべきである。


相続関係説明図には、被相続人の死亡以前に死亡した子及び被相続人が離婚した者の氏名も表示すべきと考えますがいかがでしょうか。


貴見のとおりと考えます。

「反対解釈」をしてみよう

この先例は、「子供がいる場合(ただし書きの条件)は、記載すべきである」と言っています。

法律の世界では、これを裏返して(反対解釈して)次のように読みます。

  • 「じゃあ、ただし書きの条件(子供がいる)に当てはまらないなら、記載しなくていいんだね」

つまり、新人さんが考えた通り、「子供がいないなら、元配偶者は書かなくてOK」というのが、正しい解釈です。

解説2:それでも実務家が「あえて書く」理由

では、なぜベテランはわざわざ書くのでしょうか?

理由は一つ。法務局の登記官に余計な疑念を抱かせないため(審査を早く通すため)です。

法務局の登記官は、提出された大量の「戸籍謄本」と「相続関係説明図」を見比べて審査します。

省略した場合

戸籍には「離婚」の記載があるのに、図には載っていない。

すると登記官はこう思います。

  • 「ん? ここに離婚歴があるぞ」
  • 「図には載ってないけど、本当に子供はいなかったのか?」
  • 「担当者が見落としているんじゃないか? もう一度戸籍を精査しよう」

結果、審査の手が止まり、時間がかかります。 最悪の場合、「確認ですが…」と電話がかかってくることもあります。

記載した場合(実務の知恵)

図に「元配偶者(離婚)」と書いてあり、その下に子供線がなければ、どうでしょう。

  • 「お、離婚歴があるな」
  • 「図にも書いてあるし、子供の線がないということは、子供がいないことも確認済みなんだな」

これが「私はこの期間の戸籍も確認し、子供がいないことをチェック済みですよ!」という強力なメッセージ(調査完了の合図)になります。

まとめ:省略は「不親切」の元

  1. 法律(登研439号)の反対解釈では、確かに省略可能。
  2. しかし、省略すると「見落とし」を疑われるリスクがある。
  3. 「調査済み」をアピールするために、あえて記載するのがプロの仕事。

先例を知った上で、「現場がスムーズに回る運用」を選択する。

これができるようになれば、あなたはもう一人前の用地担当者です!

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