はじめに:役所の美学「A4統一」の罠
役所の書類は、基本的に「A4」で統一されていますよね。
ファイルもA4、決裁箱もA4。違うサイズの紙が混ざっていると、整理しにくいし、なんとなく「不格好」に見えてしまうものです。
これは、私がまだ経験の浅い頃にやってしまった、「親切心が仇となった失敗談」です。
「書類はキレイに揃えよう」という真面目さが、まさか法務局からの「補正(やり直し)」を招くとは思いもしませんでした……。
事件発生:B5の印鑑証明書をどうする?
ある相続登記の案件でのことです。
添付書類として、以下の2つを「原本還付(コピーを提出して、原本を返してもらう手続き)」することになりました。
- 遺産分割協議書(A4サイズ)
- 印鑑証明書(B5サイズ ※古い様式や一部自治体ではまだあります)
嘱託書もA4、協議書もA4。なのに、印鑑証明書だけが「B5」で一回り小さい。
そこで私は気を利かせてこう思いました。
(私)「これ、コピーもB5だとバラバラして法務局の人が見にくいだろうな。よし、コピー機で『A4に拡大』して、サイズを揃えてあげよう!」
私はB5の印鑑証明書を、115%くらいに拡大してA4用紙いっぱいに印刷し、自信満々で提出しました。
結末:法務局からの無情な電話
数日後、法務局の登記官から電話がかかってきました。
(登記官)「今回の印鑑証明書のコピーですが……拡大しました?」
(私)「はい! 見やすいようにA4に揃えておきました!(ドヤ)」
(登記官)「あー……それだと照合できないんで、等倍(原寸)で取り直して再提出してください」
……顔から火が出るほど恥ずかしかったです。
解説:なぜ「拡大コピー」はいけないのか?
「文字が大きくなって見やすいんだから、いいじゃないか」と思いますよね?
しかし、登記官がチェックしているのは「文字」だけではないのです。
法務局のプロ技「残影照合(ざんえいしょうごう)」
法務局では、提出された「遺産分割協議書(実印)」と「印鑑証明書のコピー」が、本当に同じ印鑑かを確認する際、「残影照合」という職人技を使うと言われています。(※公式手順として公表はされていませんが、実務上は一般的です)
▼ 残影照合のやり方
- 左手に「印鑑証明書のコピー」、右手に「遺産分割協議書」を持つ。
- 2つの印影の位置をピッタリ重ね合わせる。
- 上の紙をパラパラ漫画のように素早くめくったり戻したりする。
- 残像(残影)を利用して、線のズレや欠けがないかチェックする。
拡大すると「パラパラ」できない!
このチェック方法は、「2つの印影が完全に同じサイズ(原寸大)」であることが大前提です。
私が良かれと思ってやった「拡大コピー」は、印影のサイズ自体も巨大化させてしまったため、重ね合わせることが不可能になっていたのです。
これでは、法務局は「印鑑の照合不能」として処理せざるを得ません。
正解:こうやってコピーすればよかった
では、B5の書類をA4ファイルに綴じたい時、どうすればよかったのでしょうか?
答えはシンプルです。
「用紙サイズはA4、倍率は100%(等倍)」
コピー機の設定で以下のように操作します。
- 用紙選択: A4
- 倍率: 100%(等倍) ※ここ重要!「用紙に合わせる」を選んではいけません。
こうすると、「A4の白い紙の真ん中に、B5サイズのままの印鑑証明書が印刷された状態」になります。余白は増えますが、印影のサイズは原本と同じままです。
これなら、法務局での照合もバッチリですし、ファイルへの綴じ込みもA4で統一できます。
まとめ:証明書のコピーは「等倍」が鉄則!
- 印鑑証明書
この書類を原本還付でコピーする際は、絶対に拡大・縮小をしてはいけません。
「気を利かせて拡大」は、法務局にとっては「有難迷惑」どころか「審査不能」の原因になります。
「証明書関係のコピーは、何も考えずに『等倍(100%)』ボタンを押す」
これを今日の教訓として持ち帰ってください。私の屍(補正の電話)を越えていってくださいね!
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