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【連件の謎】「申請」と「嘱託」は混ぜて出せる? 完了証受領の落とし穴と回避策

目次

疑問:「申請」と「嘱託」は連件で出せるのか?

結論から言えば、可能です。

例えば、以下のようなケースです。

  • 1件目(申請): 売主が銀行のローンを完済し、抵当権を抹消する。
  • 2件目(嘱託): 役所がその土地を買収し、所有権を移転する。

これらを「1/2」「2/2」として、まとめて法務局へ提出することは実務上よく行われています。

根拠は?

「禁止する法律がない」というのが最大の根拠ですが、もう少し実務的な理由を挙げると以下の通りです。

  1. 実務上の必然性「きれいな土地(抵当権なし)」にしてから「買収(移転)」するのは取引の鉄則です。この順序を確保するために、連件扱いにすることは登記実務として合理的であり、定着しています。
  2. 民事執行法の前例競売(民事執行法82条2項)の手続きでも、個人の権利抹消と、買受人への移転嘱託がセットで行われています。制度としても「混ぜること」自体に問題はありません。

【重要】最大の罠は「完了証の受取」にあり

連件で出すこと自体は簡単です。

しかし、登記が終わって「完了証や還付書類を取りに行く時」にトラブルが発生します。

よくある失敗

役所の職員が窓口に行き、「連件で出した2件分の書類を全部ください」と言います。

すると、登記官はこう言います。

「職員さんにお渡しできるのは、2件目の『嘱託(役所分)』だけです。1件目の『申請(銀行・個人分)』はお渡しできません」

なぜ?

1件目の「申請」の当事者は、あくまで「売主(または銀行)」であり、役所は部外者だからです。

たとえ連件で出したとしても、受領権限までは自動的に付与されません。

解決策:「受領用の委任状」をもらっておく

役所の職員が、1件目の書類もまとめて受け取るためには、申請人(売主)からの「委任状」が必要です。

嘱託書を作る際に、以下の委任状も一枚用意し、売主さんにハンコをもらっておきましょう。これがあれば、窓口でスムーズに全書類を受け取れます。

【ひな形】受領用委任状

       委 任 状

  受任者:窓口に行く職員
   住 所 〇〇市〇〇町一丁目1番1号(〇〇市役所)
   氏 名 〇〇 〇〇 (※認印でOK)

  私は上記の者を代理人と定め、下記の権限を委任します。

  令和  年  月  日

  委任者:売主など
   住 所 〇〇市△△町二丁目2番2号
   氏 名 甲 野 太 郎  ㊞

          記

  令和  年  月  日申請(第  号〜第  号)に関する
 1 登記識別情報の受領に関する件
 2 登記完了証の受領に関する件
 3 原本還付書類の受領に関する件
 4 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の申請を取下げ、又は補正する件

※「4」の取下げ・補正権限まで入れておくと、万が一の不備の際にも役所側で対応できる場合があり便利です。

まとめ

  • 「申請」と「嘱託」の連件は可能。
  • ただし、1件目の書類を受け取る権利は役所にはない。
  • まとめて回収するには、事前の「委任状」が必須アイテム!

なお、連件であっても「申請人」が異なるため、添付書類の援用(使い回し)は原則としてできない点にも注意してください(これについては別記事で解説します)。

この委任状一枚があるだけで、窓口での「渡せません」「えっ!?」という気まずい時間を回避できますよ。

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