はじめに:なぜ呼び方が2つあるの?
まず、混乱の原因である「歴史」をサクッと理解しましょう。
- 平成16年より前(旧法):登記は「紙」でするものでした。だから「申請書」「添付書類」でした。
- 平成16年改正後(新法):「これからはオンライン申請(データ通信)の時代だ!」となりました。データは「紙(書)」ではないので、法律用語をすべて「情報」に書き換えました。
つまり、法律上は、
「紙で出す申請書」も「PDFで送るデータ」も、すべてひっくるめて「申請情報」と呼ぶことになったのです。
原則:法律上はすべて「情報」だが…
では、我々が紙で嘱託する時も、すべて「情報」と書かなければならないのでしょうか?
登記研究726号 76頁(要旨)
新法でいう「添付情報」とは、旧法でいうところの「添付書類」と同義である。
専門誌の解説にもある通り、意味は同じです。
オンライン申請なら「情報」と呼ぶのが自然ですが、紙で窓口に持っていくのに「情報を提供します」と言うのは、日本語として少し違和感がありますよね。
実務の「書き分け」ルール
実務現場(特に書面申請・嘱託)では、以下のような「ハイブリッド記載」が定着しており、法務局もこれを受理しています。
- 法律用語として固定されたものは「情報」
- 物理的な紙を指すものは「書」でもOK
実践:嘱託書にはこう書こう!
迷ったら、このリスト通りに書いてください。これが現在のスタンダードです。
1. 絶対に「情報」と書くべきもの
これらは、新法独自の概念や固有名詞になっているため、「書」と書くと違和感があります(古いと思われます)。
- ◎ 登記原因証明情報(昔は「登記原因証書」でしたが、今は「情報」が定着しています)
- ◎ 登記識別情報(「登記済証」から変わりました。パスワード情報のことなので「情報」です)
2. 「書」と書いてもいいもの(紙申請の場合)
物理的な「紙」を添付する感覚が強いものは、「書」の方が分かりやすいですし、間違いではありません。
- ○ 登記承諾書 (承諾情報でも可)
- ○ 住所証明書 (住所証明情報でも可)
- ○ 印鑑証明書 (印鑑証明情報でも可)
- ○ 遺産分割協議書
- ○ 委任状
記載例:ハイブリッド型
今の嘱託書は、こんなふうに「情報」と「書」が混在していて大丈夫です。
添付書類
登記原因証明情報 兼 登記承諾書 (印鑑証明書付)
住所証明書
まとめ:こだわらなくてOK
結論として、書面で嘱託(申請)する場合は、そこまで神経質になる必要はありません。
- 「登記原因証明情報」と「登記識別情報」だけは、必ず「情報」とする。
- それ以外(住民票や印鑑証明など)は、「書」のままでも補正にはならない。
「法律上は全部『データ(情報)』扱いだけど、紙で出すときは『書類』って呼んでも通じるよ」
これくらいの緩い理解で、実務は十分に回ります。安心してくださいね。
登記研究726p76
添付情報とは、「登記の申請をする場合において、不動産登記法第22条本文若しくは第61条の規定、次章(※登記令第2章「申請情報及び添付情報」第3条から第9条を指す。)の規定又はその他の法令の規定によりその申請情報と併せて登記所に提供しなければならないものとされている情報」をいう(登記令2条1号)ものとされており、「情報」という用語を用いているが、旧法でいうところの「添付書類」と同義である。
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