実務の現場では、登記簿(全部事項証明書)がない建物、いわゆる「未登記建物」に遭遇することは珍しくありません。
「登記簿がないから、どう書けばいいか分からない!」とパニックになる必要はありません。
登記所(法務局)に記録がなくても、市町村(税務課)はちゃんとその建物を把握しています。
今回は、未登記建物を遺産分割協議書などの契約書に記載する際の「王道の書き方」をご紹介します。
疑問:登記簿がないのに、どうやって特定する?
通常、不動産の表示は「登記事項証明書(登記簿謄本)」の通りに記載します。
しかし、未登記建物にはそれがありません。
「じゃあ、適当に『物置 1つ』って書けばいいの?」
いえ、それでは特定が不十分で、後で「どの物置のことだ?」と揉める原因になります。
解決策:ネタ元は「固定資産評価証明書」
法務局に登記されていなくても、固定資産税を課税するために、市町村役場には記録があります。
まずは役所の税務課で「固定資産評価証明書(または名寄帳)」を取得してください。
そこに、その建物の「所在」「家屋番号(または符号)」「種類」「構造」「床面積」が記載されています。
実践:こう記載すれば完璧!
遺産分割協議書には、評価証明書の通りに記載し、最後に「これは登記簿じゃなくて、評価証明書の内容ですよ」という注釈(魔法の一文)を付け加えます。
【記載例】
(不動産の表示)
所 在 〇〇市〇〇町一丁目10番地 (※1)
家屋番号 未登記 (※2)
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階 50.00平方メートル
2階 30.00平方メートル
(ただし、本物件は未登記につき、固定資産評価証明書に基づく記載である)
【解説】
- (※1)所在: 評価証明書に載っている地番を書きます。
- (※2)家屋番号: 登記がないので「未登記」と書くか、評価証明書に独自の家屋番号(例:10番の1 など)が付いていればそれを書き、末尾の注釈で補足します。
まとめ:この一文でプロっぽくなる
未登記建物を扱うときは、以下の2ステップで対応しましょう。
- 「固定資産評価証明書」を手元に用意する。
- その内容を転記し、末尾に「(ただし、未登記につき、固定資産評価証明書に基づく記載)」と書き添える。
たったこれだけですが、これを書いておかないと「登記簿と平米数が違うじゃないか!(そもそも登記簿ないけど)」といった無用な混乱を招くことがあります。
この「魔法の一文」は、実務の必須テクニックとして辞書登録しておきましょう!
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