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【嘱託登記】「戸籍」「印鑑証明書」と書かないのはナゼ? 添付書類の正しい記載ルール

登記嘱託書を作成する際、添付書類の欄で手を止めたことはありませんか?

「戸籍謄本を付けたから『戸籍謄本』と書く……いや、先輩の書類には『登記原因証明情報』と書いてある。なぜ?」

実は、登記の添付書類欄には「書類の具体的な名前」ではなく、「法律上の分類名(標目)」を書くというルールがあります。

今回は、間違いやすい「添付書類の書き方」をスッキリ整理します。

目次

1. 鉄則:書類名ではなく「標目(タイトル)」を書く

嘱託書の添付書類欄に記載するのは、個別の書類名(住民票、戸籍謄本など)ではありません。

その書類が「登記において何の役割を果たしているか」を示す、「標目(ひょうもく)」を記載します。

このルールは、不動産登記規則第34条に基づき、申請情報の能率的な審査や紛争防止を目的としています。

よくある「読み替え」リスト

実務では、手元にある書類を以下のように脳内で変換して記載します。

手元にある書類(具体名)嘱託書に書く名称(標目)
売買契約書、売渡証書登記原因証明情報
遺産分割協議書、戸籍謄本登記原因証明情報(または相続証明書)
登記承諾書登記承諾書
住所移転の住民票登記原因証明情報(または住所証明書)

2. 「一部としての」印鑑証明書は書かない

ここが一番の落とし穴です。

「印鑑証明書を添付しているのに、リストには書かない」ケースが多々あります。

なぜ書かないのか?

印鑑証明書が、他の書類(遺産分割協議書や承諾書)の「一部」として機能しているからです。

  • 遺産分割協議書に付けた印鑑証明書→ 協議書が真正であることを証明するための「付属品」です。主役はあくまで協議書(登記原因証明情報)なので、印鑑証明書は単独で記載しません。
  • 登記承諾書に付けた印鑑証明書→ 承諾書の押印が実印であることを証明するための「付属品」です。したがって、標目は「登記承諾書」となり、その一部である印鑑証明書は書きません。

どうしても書きたい場合は?

実務上、どうしても明記したい場合や、書類の構成を分かりやすくしたい場合は、カッコ書きで記載するのがスマートです。

記載例:

添付書類 登記承諾書(印鑑証明書付)

これなら、「登記承諾書」という標目を崩さずに、印鑑証明書の存在もアピールできます。

3. 書く順番と通数について

書く順番

基本的には、不動産登記法の条文順(原因情報→承諾書…)とされていますが、厳密に覚える必要はありません。

法務局のホームページで公開されている「様式例」に従って記載すればOKです。

登記嘱託書の様式等についてhttps://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI80/minji80.html

不動産登記申請手続についてhttps://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki1.html

通数(〇通)

昭和39年の通達以降、申請書・嘱託書への「通数」の記載は不要となりました。

「登記原因証明情報 1通」と書かなくても、「登記原因証明情報」だけで足ります。

まとめ

添付書類の記載に迷ったら、以下の3ステップで判断しましょう。

  1. その書類の役割は?(原因の証明? 承諾? 住所の証明?)
  2. 役割に応じた「標目」に変換する。(契約書→登記原因証明情報)
  3. 付属品は独立させない。(印鑑証明書は親書類に含める)

「具体名ではなく、役割名を書く」。これさえ覚えておけば、嘱託書作成で迷うことはなくなります。

不動産登記法規則34Ⅰ⑥

(申請情報)
第三十四条 登記の申請においては、次に掲げる事項を申請情報の内容とするものとする。
一 申請人又は代理人の電話番号その他の連絡先
二 分筆の登記の申請においては、第七十八条の符号
三 建物の分割の登記又は建物の区分の登記の申請においては、第八十四条の符号
四 附属建物があるときは、主である建物及び附属建物の別並びに第百十二条第二項の符号
五 敷地権付き区分建物であるときは、第百十八条第一号イの符号
六 添付情報の表示
七 申請の年月日
八 登記所の表示
(以下省略)

登記研究744p176

(7)添付情報の表示

登記の申請と併せて提供すべき添付情報があるときは、その表示を申請情報の内容とすることとされている(登記規則第34条第1項第6号)。

申請人がどのような情報を添付情報として提供するかを申請情報の内容として明らかにすることは、申請人が申請の際にこれを再確認して、適正な申請をすることにつながり、申請人にとっても有意義なことであり、また、登記所においても、その申請の審査がより能率的で正確になることが期待できる。そこで、従来から実務上の慣例として一般的に行われていた添付情報の表示を申請情報の内容とすること(昭和36年9月15日民事甲第2281号民事局長通達・登記研究169号33ページ[解説171号52ページ])、昭和39年8月24日民事甲第2864号民事局長通達・登記研究203号23ページ)について、平成16年の不動産登記法の改正の際に登記規則に任意的な申請情報の内容として規定されたものである。

昭和36年9月15日民事甲第2281号民事局通達

[要旨]
登記申請書には添付する書類を通数とともに表示するのが相当である。

[照会]
登記申請の際に提出する書類を当該申請書に添付書類として記載させることが通例であり、また記載させることが当然のようにも考えられるところ、一部の法務局管内においては、永年の慣行として、これらを記載させないばかりではなく、記載することに反対の意向を示す司法書士等もあるようですが、事務の適性合理化を要請される現在においては、なるべく全国的に統一することが望ましいものと思料せられます。
右につき、本省のご意見を拝承致したく、お伺いします。

[回答]
昭和36年7月19日付日記第408号で問合せのあった標記の件については、当該添付書類をその通数とともに記載させるものを相当と考える。

[解説]
登記の申請の際には、申請書のほか、登記原因を証する書面、登記義務者の権利に関する登記済証、利害関係人の承諾書或いは証明書等、登記の態様に応じて各種の書面の提出が不動産登記法、同法施行細則上要求されている。
ところがこれら申請書に添付すべき書類の標目を申請書中に挙示すべき旨の規定は不動産登記法にも施行細則にも存在せず、従来からの先例にもこの点に触れたものはない。
しかし一般的には実務上の慣行として、添付書類をその通数とともに表示する取扱がなされて来たのであるが、なお一部の登記所に於いては、法令に明示を必要とする趣旨に規定がないことを理由に消極的見解を採っているところもあるようである。
もとより申請書の記載事項等については、全国一律の取扱いをすべきことは当然のことであるので、本件照会を機に添付書類とその通数を申請書に明示すべき旨が通達された。
形式的見地からしても、添付書類の標目が一見して明らかになる様に主たる文書中に明示して置くことは、敢えて法令の規定をまつまでもなく、文書作成にあたっての常識ともいう可く、又登記事務の処理上、前述した如く一件の申請についても相当数の各種書類の添付が必要とされるので、申請書中にその標目と通数が列示され、その順序に従って編綴、提出されれば、事件の調査がより能率的、合理的になされ得るであろう。
更に、必要な添付書類の欠缺の理由に、登記申請を却下した場合に、後日の紛争を防止する手段としても実益があろうし、又必要な書面の添付がないにも拘らず受理登記したとして異議申立があった場合にも、申請書に添付書類を記載することになれば、この解決に役立ち、かつ又登記所の責任も明らかになるものと考えられる。
なお右記載の方法であるが、申請書中登記を求める事項の後に一項目を設け、不動産登記法第35条等に掲記されている順序に従って書面の種類及び通数を表示し、同種の書面が数通添付されて、例えば、何人の登記済証であるか、誰の承諾書か不明確を来す如き場合には、ここの添付書類を明らかに表示することが望ましいであろう。
ただ添付書類の記載は、法律上要求されるものではないので、その記載の欠缺或いは不備を理由に、申請を却下することはできないが、登記事務の効率化及び正確化を企図する本件通達の趣旨に則り、申請人等の協力をもとめるべきものと考えられる。

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