銀行の合併に伴う抵当権抹消登記などでは、その変遷を証明するために「閉鎖登記簿(閉鎖謄本)」を添付することがよくあります。
しかし、合併を繰り返した銀行の閉鎖登記簿は、時には何十ページにも及ぶことがあります。
「これ、原本還付のために全部コピーするの…?」と絶望したことはありませんか?
今回は、そんな実務家のための「コピー代と時間の節約術」(もちろん正規の方法です)について解説します。
1. 悩み:合併の証明書が「鈍器」のように分厚い
抵当権抹消登記において、抵当権者(銀行)が合併している場合、その変更を証する書面(変更証明情報)が必要です。
多くの場合、法務局で取得した「閉鎖事項証明書(閉鎖謄本)」を添付しますが、大企業の歴史が詰まったその書類は非常に分厚くなりがちです。
通常、原本還付を受けるには、「原本の全部」をコピーして、「原本に相違ありません」と奥書します。
しかし、100ページある閉鎖登記簿のうち、今回の登記に必要な「合併」の記載は、たったの1ページだけ……ということもザラにあります。
「関係ない99ページもコピーしなければならないのでしょうか?」
2. 結論:必要な部分だけ「抄録(抜き出し)」でOK!
ご安心ください。全部をコピーする必要はありません。
登記申請に必要な部分だけをコピー(抄写)した書面を添付すれば、原本還付を受けることができます。
具体的には、以下の部分が含まれていれば十分です。
- 表紙(または発行元の認証文言があるページ)
- 必要な事項(合併の記載など)があるページ
これなら、コピーは数枚で済みます。
3. 根拠:登記研究で認められた「便宜」の取り扱い
「本当にそんな手抜きで大丈夫?」と不安になる方のために、根拠となる先例(質疑応答)をご紹介します。
登記研究499号 183頁
【要旨】
必要部分のみを抄写した抄本を添付して、不動産登記法施行細則第44条の11(現在の規則55条にあたる規定)による原本還付請求があった場合、便宜、これを認めてさしつかえない。
【問】
原本還付のための謄本を添付することになっていますが、添付書類としての必要部分のみの抄本を添付すればよいものと考えますがいかがでしょうか。
【答】
便宜、認められるものと考えます。
解説
本来、原則論で言えば「原本と同一の写し(謄本)」を作成すべきところですが、実務上の負担軽減のため、「便宜(べんぎ)」として、必要な部分の写し(抄本)でも原本還付を認める、という運用がなされています。
まとめ
- 分厚い閉鎖登記簿でも、全ページコピーする必要はない。
- 「必要な部分」だけをコピーして原本還付請求ができる。
- 根拠は登記研究499号。堂々と「抄本」で提出しよう。
大量の紙とトナー、そしてコピー機の前で立ち尽くす時間を節約して、スマートに業務を進めましょう。
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