登記嘱託の際、住民票や印鑑証明書など、戻してほしい書類(原本還付請求するもの)がたくさんあると、その作業の手間にうんざりしたことはありませんか?
「すべての書類のコピーに、一枚ずつ『原本に相違ありません』と書いて、ハンコを押さなきゃいけないの?」
結論から言うと、その必要はありません。
すべてのコピーを「一つの束」にまとめてしまえば、奥書と押印は一箇所で済みます。これは申請人だけでなく、処理をする登記官にとってもありがたい方法なのです。
今回は、法務局推奨のガイドブックや図解に基づき、スマートな原本還付の作法を解説します。
1. 原則:一枚ずつ書かなくてもOK
原本還付を請求する場合、原則として「原本のコピー」を作成し、そこに「原本と相違ありません」という文言(奥書)と、署名(記名)・押印をする必要があります。
しかし、還付したい書類が「住民票」「印鑑証明書」「固定資産評価証明書」……と複数ある場合、それぞれ別々に作成して、一つ一つにハンコを押すのは大変です。
実は、これらはセットにしてしまって構いません。
2. 実践:まとめて還付請求する手順
法務局が公開している「相続登記ガイドブック」の手順に従って、具体的な作成方法を見てみましょう。
手順① コピーをまとめる
還付してもらいたい原本(住民票、印鑑証明書など)のコピーをすべてとり、ひとかたまりに重ねます。
手順② 表紙をつける(または1枚目に書く)
重ねたコピーの一番上に「原本還付請求用の表紙(中表紙)」をつけます。
そこへ以下のように記載し、申請書に使った印鑑で押印します。
原本に相違ありません。
氏名 法務 太郎 ㊞
※実務上は、わざわざ白紙の表紙をつけず、コピーの一番上のページ(1枚目の余白)に直接この文言とハンコを押す方法でも問題ありません。下記商業登記の原本還付の説明参照。
手順③ ホチキスで留めて「契印(けいいん)」をする
ここが最重要ポイントです。
バラバラにならないよう左側をホチキスで留め、ページとページの間(つづり目)に「契印(割印)」を押します。
これにより、「これら一式で一つの書類ですよ」ということが証明され、奥書(相違ありませんのサイン)は表紙の一箇所だけで済むことになります。



3. 登記官も助かる「Win-Win」な方法
なぜ、この「まとめ技」が推奨されるのでしょうか。それは申請人の手間が減るだけでなく、登記官の手間も激減するからです。
原本還付をする際、登記官は提出されたコピーの方に「原本還付」という大きなスタンプを押し、そこに登記官印を押さなければなりません。
- バラバラに出された場合:登記官は、住民票のコピー、印鑑証明書のコピー……それぞれ全てにスタンプとハンコを押す必要があります。
- まとめて出された場合:束になった表紙(または1枚目)に一回スタンプを押すだけで完了します。
お互いの作業負担を減らすためにも、還付書類はできるだけ「合綴(がってつ=まとめて綴じること)」して提出しましょう。
【プロ向けTIPS】「原本還付」のスタンプについて
不動産登記事務取扱手続準則第30条では、登記官が押す「原本還付」のスタンプの様式(別記第45号)が定められています(縦1.5cm × 横6cm)。

司法書士等の実務家が大量の案件を処理する場合、あらかじめ自分でこのサイズの「原本還付」スタンプを用意し、コピーの方に押してから提出することもあります。
これは「登記官の手間を少しでも減らす(=完了を早くする)」ための配慮であり、必須ではありませんが、覚えておくと喜ばれるテクニックの一つです。
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