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「除票がない!」相続関係説明図に書く住所はどうする?実務の正解と根拠

膨大な戸籍謄本や図面と格闘する日々、お疲れ様です。

さて、用地買収において避けて通れないのが、亡くなった地権者の「相続登記」です。

法務局へ嘱託する際、原本還付(戸籍などを返してもらう手続き)のために「相続関係説明図」を作成しますよね。

ここでよくある、冷や汗もののトラブル。

「被相続人(亡くなった方)の『住民票の除票』が保存期間経過で廃棄されていて、最後の住所が証明できない!」

こんな時、相続関係説明図の「住所」欄には何を書けばいいのでしょうか?

相続関係説明図の作成方法については、下記記事を参考にしてください。
👉️【実務家必読】実は読んでいない人が大半? 「昭和39年通達」が教える相続関係説明図の正しい作り方

目次

結論:除票が取れないなら「本籍」を書けばOK

結論から言います。

被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)が廃棄されており、最後の住所を公的書類で証明できない場合は、相続関係説明図の住所欄に「本籍」を記載してください。

これで登記は通ります。

基本的な記載ルール(優先順位)

実務上は、以下の優先順位で記載内容を判断します。

  1. 原則: 「最後の住所」を記載。
  2. 住所不一致: 登記簿上の住所と最後の住所が違う場合、「両方」を併記。
  3. 住所不明(今回): 「本籍」を記載。

なぜ? 実務的な解説と「根拠となる通達・登記研究」

なぜこれで良いのか、上司や法務局に説明するための「武器(根拠)」を用意しました。メモのご準備を。

1. 原則のルール(昭和39年通達)

まず、相続関係説明図の基本ルールです。

【根拠:昭和39年11月21日 民事甲第3749号 民事局長通達】

相続関係説明図には、被相続人の氏名のほか、その最後の住所を記載する。もし登記簿上の住所と異なる場合は、両方(登記上の住所・最後の住所)を併記する。

解説:

これは、「登記簿上の所有者」と「亡くなった被相続人」が同一人物であることを特定するためです。住所の変遷(つながり)が見えるように書いてね、ということです。

2. 困った時の解決策(登記研究439号)

しかし、昔に亡くなった方などの場合、役所の保存期間(旧5年、現在は150年)が過ぎて「住所の履歴」が消えていることがあります。この場合の救済措置が以下の質疑応答です。

【登記研究439号】 相続関係説明図に記載する被相続人の住所

問: 相続登記申請書に添付する相続関係説明図の被相続人の住所は登記簿の住所を書けばよいと思いますが、(中略)死亡時の住所を証する書面がとれない(除票し廃棄されている)場合には本籍でもよいでしょうか。

答: (前略)貴見のとおりと考えます。(つまり、本籍でOK)

解説:

住所の証明書がない以上、これ以上住所を追うことは不可能です。その代わり、「本籍」という揺るぎない情報を記載することで、「この戸籍(本籍地記載)の人物こそが、被相続人ですよ」と特定するわけです。

ここだけは注意! 初心者が陥りやすいミス

「じゃあ、除票が取れないときは、黙って本籍を書けばいいんですね?」と思った方、ちょっと待ってください。

実務では、もうワンステップ必要になることが多いです。

「不在住証明書(廃棄証明書)」の添付を忘れずに

法務局に対し、「サボって取らなかった」のではなく、「物理的に存在しないから取れなかった」ことを証明する必要があります。

  • 手順: 該当する市区町村で「除票(または附票)の廃棄証明書」を取得する。
  • 添付: 登記申請書にこの証明書を付ける。

住民基本台帳法の改正(保存期間の延長)

平成31年(2019年)6月20日から、住民票の除票等の保存期間が「5年間」から「150年間」に延長されました。

しかし、「この改正時点ですでに保存期間(5年)を経過して廃棄されていたもの」は復活しません。

「最近の法律では150年保存だからあるはずだ!」と思い込まず、古い事案では「廃棄済み」の可能性を常に考慮してください。

まとめ:根拠を知れば、登記は怖くない

  • 相続関係説明図には、基本は「最後の住所」を書く。
  • 除票廃棄などで証明できない場合は、「本籍」を書けばOK(登記研究439号)。
  • ただし、「廃棄証明書」などで取れない理由を証明する準備をしておく。

私たちの仕事は、説明責任との戦いです。

「なんとなく」ではなく、「この通達と登記研究に基づいて処理しました」と言えるようになれば、あなたはもう立派な用地担当者です。

一件一件、確実に解決していきましょう!

参考資料:登記研究439号

相続関係説明図に記載する被相続人の住所

〔要旨〕 相続関係説明図の被相続人の住所はその最後の住所を記載するが、登記簿上の住所と最後の住所が同一でないときはそれらを併記する。また、最後の住所が不明の場合には本籍地を記載する。

 相続登記申請書に添付する相続関係説明図の被相続人の住所は登記簿の住所を書けばよいと思いますが、被相続人の死亡時の住民票上の住所を書くとの意見もありますがいかがでしょうか。また死亡時の住所を証する書面がとれない(除票し廃棄されている)場合には本籍でもよいでしょうか。(登研生)

 前段 最後の住所を記載し、それが登記簿上の住所と同一でない場合には、その旨併記するのが相当と考えます。    後段 貴見のとおりと考えます。(参考・先例集追II一〇八)

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