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「法人識別事項」と「会社法人等番号」の違いと、迷わない書き方

嘱託登記に携わる皆さん、お疲れ様です。

日々地権者との交渉や書類作成に追われていることと思います。

今回は、令和3年の法改正で登場した新用語「法人識別事項」と、以前からある「会社法人等番号」、そして「嘱託書(申請書)への書き方」について、その歴史的背景を交えて一本の記事にまとめました。

「なぜ同じようなことを2回も書く必要があるのか?」「そもそもこの2つは何が違うのか?」

このモヤモヤを解消し、自信を持って決裁を回せるようになりましょう。

目次

現場でよくある「どっちだっけ?」

「先輩、株式会社○○から土地を買収する嘱託書の件ですが……」

「『権利者』の欄に会社法人等番号を書いたのに、『添付情報』の欄にもまた『会社法人等番号』って書く必要があるんですか? 重複してませんか?」

こんな疑問を持ったことはありませんか?

特に令和3年の法改正以降、用語も増えてややこしくなっています。

結論から言うと、「役割が違うから両方必要」のです。

この記事では、用語の定義から歴史、そして明日使える具体的な書き方までを、分かりやすく解説します。

1. 「法人識別事項」と「会社法人等番号」の違い

まず、用語の整理から始めましょう。ここがゴチャゴチャだと、上司への説明で詰まってしまいます。

イメージは「箱(カテゴリー)」「中身(データ)」の関係です。

  • 法人識別事項(箱):令和3年の法改正で決まった、「法人を識別するために登記簿に載せる情報のジャンル名」。
  • 会社法人等番号(中身):そのジャンルに入れる具体的なデータ(12桁の数字)。

【根拠:令和6年3月22日 民事甲第551号通達】

日本国内の一般的な会社(株式会社など)の場合、「会社法人等番号」がそのまま「法人識別事項」として扱われます。

つまり、「法人識別事項を登記してください」という命令に対して、「はい、会社法人等番号(1234…)を使います」と答えている関係です。

※ちなみに、番号を持たない法人の場合は「設立根拠法」などが中身になります。

2. 制度の変遷:「紙」から「番号」、そして「登記事項」へ

なぜ、今の嘱託書(申請書)は少し複雑な書き方になっているのでしょうか?

それは、「2015年の改正(効率化)」と「2024年の改正(透明化)」という、目的の異なる2つのルールが重なっているからです。

歴史を知ると、「なぜ2箇所に書く必要があるのか」がストンと腑に落ちます。

① 「紙」が必須だった時代(~2015年)

昔は、法人が当事者になるたびに、法務局で「登記事項証明書(資格証明書)」という紙を取得し、原本を添付する必要がありました。

アナログで大変な時代でした。

② 「添付省略」の時代(2015年~)

「行政手続きを効率化しよう」ということで、「12桁の番号を申請書に書けば、紙の証明書は出さなくていいよ(添付省略)」というルールができました。

これが、現在の嘱託書における「添付情報の欄」の根拠です。

③ 「登記事項化」の時代(2024年4月1日~現在)

そして今回(令和3年改正法)。所有者不明土地問題を受け、「番号を単なる確認ツールで終わらせず、登記簿にずっと残る情報(所有者データの一部)として記録しよう」という義務ができました。

これが、現在の嘱託書における「権利者欄」の根拠です。

時期ルールの変化今の実務への影響(根拠)
2015年改正紙の証明書を省略可能に添付情報欄に書く理由
(不動産登記令 第7条)
2024年施行
(令和3年改正)
番号を「登記事項」に追加権利者欄に書く理由
(不動産登記法 第73条の2)

3. 実践!嘱託書(申請書)への書き方

では、実際に嘱託書をどう書けばいいのか?

ここが一番知りたいところですよね。以下が「正解」のテンプレートです。

【権利者(または義務者)の欄】

ここには、「具体的な12桁の数字」を書きます。

これは、法務局に対して「この番号を新しい登記簿に記録してください(義務)」と伝えるためです。

【添付情報の欄】

ここには、「会社法人等番号」という名称だけを書きます(数字は書きません)。

これは、法務局に対して「番号があるから、資格証明書(紙)の添付は省略させてもらうよ(権利)」と伝えるためです。

記載例:

(添付情報)

登記原因証明情報兼登記承諾書 会社法人等番号

【ここがポイント!】

  • 数字を書くのは1回だけ(権利者欄)でOKです。
  • 添付情報欄に数字を書かない理由は、登記官が権利者欄の数字を見て検索できるからです(二度手間防止)。

4. 【要注意】「番号がない」法人の場合

最後に、嘱託登記では登場しないと思われますが、番号がない法人について紹介します。

相手が外国法人(海外の企業)等の場合、日本の会社法人等番号を持っていないことがあります。

この場合、これまでの説明とは対応が異なります。

  1. 権利者欄(法人識別事項):番号がないので、「設立準拠法国(どこの国の法律で作られた会社か)」を記載します。
    例:設立準拠法国 アメリカ合衆国デラウェア州法
  2. 添付情報欄:番号がないので、「添付省略」はできません!必ず、その国の官庁が発行した証明書や、宣誓供述書などの「紙の証明書」が必要になります。

まとめ

  • 「法人識別事項」はカテゴリー名、「会社法人等番号」はその中身。
  • 「権利者欄」への番号記載は、登記簿に載せるため(2024年~)。
  • 「添付情報欄」への名称記載は、紙を省略するため(2015年~)。
  • 嘱託書には、権利者欄に数字を書き、添付情報欄には名称のみを書くのが正解。

法律や制度は複雑ですが、その「背景」を知っていれば、書き方に迷うことはなくなります。

用地取得は自治体にとって重要な業務です。正確な知識を武器に、自信を持って業務を進めてください!

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