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用地担当者必見!ローマ字氏名・国内連絡先等の「代位・嘱託登記」における注意点まとめ

用地買収の現場で、「地権者が海外にいる」「相続登記が未了のまま放置されている」といったケースに遭遇することは日常茶飯事ですよね。

こうした場面で、我々自治体が地権者に代わって行う「代位登記」や「嘱託登記」において、令和3年不動産登記法の改正で追加された項目(ローマ字氏名や旧氏併記など)をどう扱うべきか、悩んだことはありませんか?

結論から言います。

目次

1. 結論:何が記載できて、何ができないのか

まずは、この一覧表をデスクの近くに貼っておいてください。

項目代位・嘱託での記載結論実務上のポイント
① 法人識別事項必須(原則)外国法人等の場合、調査困難なら「不詳」も可。
② 国内連絡先事項必須(原則)本人が申請人でないため「連絡先なし」の上申書等は省略可。
③ ローマ字氏名必須(原則)パスポート等の入手が困難なら省略可。
④ 旧氏併記不可×本人が申請人ではないため、同時申出できない。
⑤ 検索用情報不可×本人が申請人ではないため、同時申出できない。

2. 実務解説と法的根拠

なぜこのような違いが出るのでしょうか? ここで上司や法務局を納得させるための「根拠(条文・通達)」を確認しておきましょう。

グループA:原則として「記載が必要」なもの

(①法人識別事項、②国内連絡先事項、③ローマ字氏名併記)

これらは、所有者が誰であるかを特定し、連絡を取るために「登記事項(登記簿に載る情報)」として義務付けられたものです。したがって、誰が申請しようと(本人だろうと自治体の嘱託だろうと)、原則として情報を入れなければなりません。

① 法人識別事項(会社法人等番号など)

法人が所有権登記名義人となる場合、必須です。

ただし、外国法人などでどうしても番号や設立準拠法が分からない場合は、以下の通達に基づき「不詳」とする逃げ道が用意されています。

【根拠通達】令和6年3月22日 民二551号 第2部 第1の3(2)

代位者等が、設立準拠法国等の情報を得ることが困難である場合には、登記官が相当と認めるときに限り、「設立準拠法国 不詳」等として記録することができる。

② 国内連絡先事項

海外在住者(国内に住所がない者)が名義人となる場合、国内の連絡先(親族など)を登記する必要があります。

実務で困るのは「国内に連絡先がない場合」です。通常は「ないことの上申書(印鑑証明付)」が必要ですが、代位・嘱託では地権者の印鑑証明をもらうのが困難なケースが多いですよね。そこでも例外規定があります。

【根拠通達】令和6年3月22日 民二551号通達 第2部 第2の3(4)

申請人にならない所有権登記名義人について、国内連絡先事項がないときは、上申書の提供を要せず、その旨(国内連絡先 なし)を申請情報の内容とすることができる。

要するに: 用地課職員が調査して「国内連絡先はない」と判断すれば、地権者のハンコなしで「なし」として処理できます。

③ ローマ字氏名併記

外国人を所有権の登記名義人として登記する場合です。これも原則必須です。
しかし、住民票(住基ネット)がない外国人の場合、パスポートのコピーなどを入手できないことがあります。その場合も柔軟な取り扱いが認められています。

【根拠通達】令和6年3月22日 民二552号通達 第2部 第2の3(1)イ

代位者等が、ローマ字氏名を証する情報(旅券の写し等)を入手することが困難である場合には、その申出を要しない。

要するに: 「地権者と連絡がつかずパスポートの写しがもらえない」という事情があれば、カタカナ等の氏名のみで登記してもOKということです。

グループB:代位・嘱託では「できない」もの

(④旧氏併記、⑤検索用情報)

ここが最大の注意点です。これらは義務ではなく「本人の希望があれば載せられる(登録できる)」という性質のものです。

代位登記や官公署の嘱託登記では、本人は申請人になりません。 よって、他人が勝手に「旧姓も載せておこう」と決めることはできないのです。

④ 旧氏の併記

結婚前の旧姓を併記する制度です。

【検索条文】不動産登記規則 第158条の35第1項(要約)

旧氏の記録の申出は、「当該登記の申請人である場合に限り」することができる。

実務への翻訳:

我々(自治体)が嘱託で登記を入れる際、同時に「旧姓も入れてあげよう」とはできません。もし地権者が「旧姓も入れてほしい」と言ってきたら、「今回の登記(嘱託)が完了した後に、ご自身で法務局に『氏名変更登記(旧氏併記)』を申請してください」と案内する必要があります。

⑤ 検索用情報(住所変更等職権登記の情報連携用)

これは住基ネットとの連携等に使われる情報です。

【検索条文】不動産登記規則 第158条の39 第1項(要約)

検索用情報の提供は、「所有権の登記名義人となる者が、これらの登記の申請人である場合に限り」することができる。

実務への翻訳:

これも旧氏と同様です。本人のプライバシーや意思に関わる部分なので、第三者による代位・嘱託等のタイミングでは登録できません。

3. 現場での注意点(ヒヤリハット)

地権者への説明ミスに注意!

用地交渉の際、地権者(特に所有者の相続人など)から「登記するなら、ついでに私の旧姓も入れといてよ、仕事で使ってるから」と言われることがあるかもしれません。

ここで、「わかりました!やっておきます!」と安請け合いするのはNGです。

「申し訳ありません。今回の私たちの手続き(嘱託登記)ではシステム上入れられない決まりなんです。登記完了証をお渡しした後、ご自身で申請していただく必要があります」と正確に伝えましょう。

4. まとめ

  • 法人ID・国内連絡先・ローマ字氏名 → 必須だが、情報入手困難なら「例外措置(不詳・なし・省略)」を使って進めてOK。
  • 旧氏併記・検索用情報 → 本人の意思ベースなので、代位・嘱託では一切不可

「条文や通達なんて難しくて読めない」と思われがちですが、こうして整理すると「なぜそうなっているのか」が見えてきます。根拠を知っている職員は、地権者に対しても法務局に対しても説得力が違います。

正確な知識で、トラブルのない円滑な用地取得を目指しましょう!

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