
登記承諾書に添付する印鑑証明書ですが、
法人の場合、添付不要となったのですか?



そうです!
会社法人等番号を提供すれば
印鑑証明書の添付は不要となりました!
はじめに:銀行や企業とのやりとり、書類集めで疲弊していませんか?
用地買収に伴う所有権移転や、買収地に設定されている抵当権の抹消登記。 相手が銀行や企業の場合、「印鑑証明書をとってください」と依頼してから手元に届くまで、稟議などの関係で意外と時間がかかるものです。
さらに、年度末の繁忙期に「証明書の期限が切れそうです!」なんて事態になったら目も当てられません。
実は、今の不動産登記実務では、ある条件を満たせば「法人の印鑑証明書の添付は不要」なんです。
その根拠と具体的な書き方を伝授します。
結論:12桁の「会社法人等番号」があれば、印鑑証明書は添付不要!
結論から言います。 嘱託登記(私たち自治体が行う登記)において、登記義務者(売主である法人や、抵当権者である銀行など)が法人の場合、「会社法人等番号」を登記所に提供すれば、その法人の印鑑証明書の添付は省略できます。
つまり、承諾書に実印(法務局届出印)は押してもらうけれど、印鑑証明書の現物はもらわなくていい、ということです。
解説と根拠:なぜ省略できるのか?
公務員として仕事をする以上、「なぜ要らないのか」を上司に説明できる根拠(武器)を持っておきましょう。
1. 原則:本来は「承諾」と「印鑑証明書」が必要
まず原則のおさらいです。官公署が登記権利者となる場合(買収など)、登記義務者(相手方)の承諾が必要です。
不動産登記法 第116条第1項 国又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、……登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
この「承諾」の真正性を担保するために、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められてきました。
2. 例外:番号があれば省略OK(ここが重要!)
しかし、法改正により取り扱いが変わりました。以下の条文と通達がその根拠です。
不動産登記規則 第50条第2項、第48条第1項 (要約)申請人(義務者)が会社法人等番号を有する法人である場合、当該会社法人等番号を提供するときは、印鑑証明書の添付を要しない。
さらに、実務のよりどころとなるのが、以下の法務省通達(Q&A)です。
令和2年3月30日付 法務省民二第318号通達 「不動産登記令等の改正に伴う添付情報の変更に関するQ&A」を本記事用に変換
Q24: 官庁又は公署が登記権利者として権利に関する登記を嘱託する場合において、登記義務者の承諾を証する情報(不登法第116条第1項)を提供するときは、当該登記義務者の印鑑証明書の提供を省略することはできますか。
A24: 登記義務者が法人である場合において、当該登記義務者の会社法人等番号を提供したときは、印鑑証明書の提供を要しません。
これでもう、「規則50条2項と令和2年の318号通達Q24に基づき省略しています」と自信を持って答えられますね。
実務での記載例
では、実際に登記嘱託書をどう作ればいいのか、具体的な記載例を見てみましょう。
ケース:銀行の抵当権を抹消する場合
登記嘱託書
登記の目的 抵当権抹消(または所有権移転)
原 因 令和○年○月○日放棄(または売買など)
権 利 者 くまのみ市
義 務 者 ○市○町○丁目○番地
株式会社マリン銀行
会社法人等番号 1234-56-789012
代表取締役 角田 司添付書類 登記原因証明情報 会社法人等番号 登記承諾書(会社法人等番号1234-56-789012)
※応用テクニック:書類を減らす場合
「登記原因証明情報」と「承諾書」を別々に作らず、一枚にまとめることもよくあります。その場合は添付書類欄を以下のように記載します。
添付書類 登記原因証明情報兼登記承諾書(会社法人等番号1234-56-789012)
現場での注意点(ヒヤリハット回避)
- 「実印」は引き続き必要です! 印鑑証明書の「添付」は省略できますが、承諾書への「実印(法務局届出印)の押印」自体は必要です。 相手方には「印鑑証明書は不要ですが、書類には必ず法務局に登録しているご実印をお願いします」と伝えましょう。
- 番号の転記ミスに注意 会社法人等番号(12桁)が間違っていると、法務局で照合ができず補正になります。登記事項証明書で、必ず正しい番号を確認してください。
- 地権者(相手方)への配慮 銀行などの金融機関はこの取り扱いに慣れていますが、地元の一般企業などは「本当に印鑑証明書を出さなくていいの?」と不安がることがあります。その際は「市の嘱託登記の手続き上、番号があればこちらで確認できるので大丈夫ですよ」と優しく案内してあげてください。
まとめ:知識を武器に、スマートな用地事務を!
いかがでしたか? 「印鑑証明書を添付しない」という選択肢を持つだけで、書類管理のリスク(紛失・期限切れ)が減り、相手方の負担も減らすことができます。
【今回のポイント】
- 相手が法人なら、会社法人等番号を活用する。
- 根拠は「規則50条2項と令和2年3月30日付 法務省民二第318号通達 Q24」。
- 嘱託書には必ず番号を記載する。
最初は不安かもしれませんが、根拠ある知識はあなたの身を守り、業務をスムーズにしてくれます。








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