MENU

代位登記で「検索用情報」は登録できない?用地担当者が知るべき新ルール

お疲れ様です!嘱託登記の業務、順調ですか?

用地課の業務は、地権者の方への説明や、法務局との細かい調整が多くて大変ですよね。

今日は、令和7年(2025年)4月から運用が始まっている「検索用情報(住基ネット連携のための情報)」について解説します。

特に、私たち用地担当者がよく行う「代位登記(相続の代位など)」の際に、この情報をどう扱うべきか、現場で即答できますか?

「せっかくだから、相続人のメールアドレスも一緒に登録してあげよう」

なんて親切心で申請書を作ると、法務局から「却下(または取り下げ)」を求められる可能性があります。

今回は、この新しい制度の落とし穴と、実務での正しいフローをシェアします。

目次

結論:代位登記・嘱託登記では「同時申出」はできません

いきなり結論から言います。

用地買収のために、市町村が債権者代位(民法423条)を行って相続登記を入れる場合や、官公署が申請人となる嘱託登記の場合、新たに名義人となる方(地権者)の「検索用情報(フリガナ・生年月日・電話番号等)」を、登記申請と同時に登録することはできません。

「えっ、不便じゃない?」と思うかもしれませんが、制度上「NG」と決まっています。

現場での正解フロー

  1. まずは登記を完了させる:代位登記では「検索用情報」のことは一旦忘れ、通常の登記のみを完了させます。
  2. 地権者へ案内する:登記完了証を渡す際などに、「将来の住所変更の手間を省くために、ご自身で『検索用情報の単独申出』をすることをお勧めします」と案内します。

解説:なぜ「同時申出」ができないのか?

この結論に至る根拠は、明確な条文と通達にあります。上司や地権者に説明する際の「武器」として、以下の出典を押さえておきましょう。

根拠1:不動産登記規則 第158条の39(同時申出の制限)

令和7年施行の改正規則では、登記申請と同時に検索用情報を提供できる要件を厳しく限定しています。

不動産登記規則 第158条の39 第1項(要約)

所有権の登記名義人となる者が、「当該登記の申請人である場合」に限り、その申請と併せて検索用情報を申し出ることができる。

【実務翻訳】

「自分の登記を自分で申請する人(またはその代理人)」しか、この情報は出せませんよ、ということです。

代位登記の場合、申請人は「市町村(代位者)」であり、「地権者(被代位者)」本人ではありません。

「申請人 ≠ 名義人となる人」となるため、この条文の条件を満たさず、システム上受け付けられないのです。

根拠2:通達(民二第373号)

法務省からの通達でも、この点は明確に否定されています。

通達:令和7年3月3日付 法務省民二第373号

第2 検索用情報を申請情報の内容とする方法(検索用情報同時申出)

…所有権の登記名義人となる者が当該登記の申請人でない場合(例えば、債権者が代位して登記を申請する場合…)には、検索用情報同時申出をすることはできない。

【実務翻訳】

「代位申請のときは、同時申出は無理だからね」と名指しで書かれています。

これは、検索用情報に「メールアドレス」などのプライバシー性の高い情報が含まれており、本人の意思確認なしに第三者(役所であっても)が勝手に登録することを防ぐためです。

そもそも「検索用情報」とは?(復習)

基礎知識もおさらいしておきましょう。

制度の目的

令和8年(2026年)4月1日より、「住所・氏名変更登記」が義務化されます。

これに伴い、法務局が「住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)」を使って、登記名義人の住所変更を自動的に把握し、職権で書き換える仕組み(職権変更登記)が導入されました。

この「住基ネットとの紐づけ」を確実に行うためのキー情報が「検索用情報」です。

記録される5つの情報

  1. 住所
  2. 氏名
  3. 氏名の振り仮名(外国人はローマ字)
  4. 出生の年月日
  5. 電子メールアドレス(※任意だが、変更通知を受け取るために重要)

これらは「永久保存」され、名義人が国内に住所を有する「自然人(個人)」だけが対象です。(※法人は対象外です!)

注意点:用地担当者がやりがちな「ヒヤリハット」

1. 「親切心」での記載ミス

代位相続登記の申請書作成時、住民票などの資料が手元にあるため、つい「その他事項」や添付情報として地権者の生年月日などを詳しく書きたくなりますが、検索用情報としての申出記載は不要(不可)です。補正対象になりかねないので注意しましょう。

2. 地権者への説明不足

代位登記完了後、地権者に権利証(登記識別情報通知※代位の場合は交付されませんが、登記完了証など)を渡す際、何もしないと「せっかく登記が入ったのに、将来の住所変更連携(自動化)の対象外」の状態になります。

トラブル防止のため、「役所が代位で行った登記なので、自動書き換えの登録はされていません。ご自身で手続きが必要です」と一言添えるのが、プロの仕事です。

まとめ:後のトラブルを防ぐ「プロのひと手間」

今回のポイントを整理します。

  • 代位登記・嘱託登記では、検索用情報の「同時申出」はできない。
  • 根拠は不動産登記規則 第158条の39 および 通達(令和7年3月3日 民二第373号)
  • 登記完了後に、地権者本人が行う「単独申出(規則 第158条の40)」を案内するのが正解。

私たち用地担当の仕事は「土地を買って終わり」ではありません。その後の地権者が、登記の義務化で困らないように道筋をつけてあげることも、円滑な用地買収への近道です。

「この登記、検索用情報はどうすればいいんだっけ?」と迷ったら、いつでもこの記事を見返してくださいね。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次